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まだ七松先輩と一緒に自主練をしていた頃、2年生の実技の教科の時に同級生が口にしていた噂を私は小耳に挟んだ。
下らない、と思った。
別に七松先輩が誰を好きでも良かった。
【立花仙蔵】という男を良くもらなかったし、知ろうとも思わなかった。
思ったのに、私の心は酷く落胆していた。
何故。
あの日、七松先輩相手に怒鳴った日に、やっと解った。
私は。
わたしは。
ななまつせんぱい あなたが すき です。
初めて自分以上に心を奪われた相手。
だからこそ。
立花仙蔵と言う人を初めて見た時、あんなにも心が苦しくなった。
負けた。
叶わない。
七松先輩を取られてしまった。
自分以上に美しい人を見た。
七松先輩が惹かれるのも解る。
だって、あんなに綺麗なんだから。
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