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一連の流れが終わって、雷蔵が戻ってきた。
顔が笑っていない。
悪い相手にでも当たったのだろうか。
「雷蔵?」
「......」
「あ、泣いてる」
雷蔵の目に涙が浮かんでいた。
三郎の腕に大人しく抱かれ、何故かさめざめと泣き出す。
「誰に当たったんだよ」
「...六年の、...」
「六年?女装したら学園一の美人だけど変な性癖があるって噂の立花先輩?それとも体力馬鹿で4年生の時房中術の授業で一晩中ヤリ続けて相手のくの一駄目にしたって伝説のある七松先輩?」
「三郎、お前それ何処で仕入れた情報?」
「えへ☆」
「六年の、...な、中在家先輩...」
「「...なぁんだ」」
雷蔵の反応とは裏腹に、三郎と八左ェ門の反応はあっさりだった。
「いきなり泣くもんだから、一体誰が相手かと思ったけど」
「中在家先輩ならラッキーじゃないか。雷蔵、同じ図書委員会だろ?」
「だから嫌なんだよおおぉぉぉ」
雷蔵は同じ図書委員会で、尚且つ自分が尊敬している中在家長次が相手になる事が嫌だと言うのだ。
しかも、房中術の相手だなんて、ある意味自分の性癖が先輩に知られそうで怖いし、ぶっちゃけ尊敬している先輩の性癖を垣間見るのも複雑な心境極まりない。
「でも雷蔵。お前、中在家先輩好きだろ」
「正直、恋人になれたらとか思ってるだろ」
「三郎!その一言は余計!」
怒りと恥ずかしさで真っ赤になった顔は、暫く収まる事がなかった。
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