記憶喪失の聖職者。

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~プロンテラ西カプラ付近~ カプラ前にボロ雑巾のように雨に濡れ薄汚れた聖職者がいた。 辺りを通る人はチラリと聖職者をみ、心配そうにするが声を掛ける事はなかった。 いや、声を掛けれなかったと言うべきか… 聖職者の瞳は虚ろで何も映してはいなかった。 どれくらいそこにいただろう。 彼女は信じる者を失い、記憶を失い、全てを失っていた。 瞳から色の消えた聖職者。 生きているのかもしんでいるのかさえ定かでない聖職者に声を掛ける者が…ただ1人いた。 「…辛いことがあったんですね。」 青い服を来た紫色の髪の女性は聖職者に手を差し延べた。 聖職者はうつむいたまま顔をあげようともしない。 「こっちを向いて??」 聖職者は少し顔を上げ女性をみた。 「…………。」 不思議そうな顔をし女性を見上げる聖職者。 「君の名前は??」 「…………」 聖職者はぱくぱくと口を動かすだけで、声は雨に書き消されてしまった。 「私の溜まり場においでください」 女性は聖職者の手を取ると歩きだした。 「………」 聖職者はただなすがまま女性に手を引かれついて行った。 ~フェイヨン~ 「ほら、ここがうちの溜まり場ですよ。」 女性がニッコリと微笑んだ。 辺りには様々な服装をした男女が座っていた。 そのなかのひらひらの袖をした服装でゴブリン仮面をつけた男性が聖職者に興味を示した。 「マスターその子は??」 「プロンテラ西にいたので連れてきました。」 マスターと呼ばれた女性が男性につげた。 「へぇ。君、名前は??」 「分からないの………」 ぽつりと聖職者が告げた。 「へ??」 「ごめんなさい………」 「ぁ…いや謝ることはないけど………」 仮面の下から困ったような声を出し男性が苦笑する。 「名前がわからないんじゃ呼びにくいね+」 わざと明るく声をかける男性。 「にぁなんてどうでしょう??猫みたいな方ですし。」 マスターと呼ばれた女性が男性につげた。 「にぁねぇ…君はどう思う??」 男性は聖職者に問い掛けた。
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