真っ白い羽

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  「あなたは…誰?」   〈私は…天使 あなたの願いを叶えに来たの〉   「うそ…」   〈嘘じゃないわ… 私の背中に羽があるでしよ… 空を飛べるのよ…ほら見て…〉   「ほんと… 私にもつけてくれるの?」   〈ええ…望んでいたでしょ?〉   「私… …つけてくれたら… 大空を自由に羽ばたいて いろいろな所に行って そして… そのまま 天国に行けたら… それが、私の…」   〈そうよ…私はその為に来たの 天国に案内するための使者なの〉   「あぁ…やっぱり…」   〈そうよ…あなたが望んでる事でしょ?〉   「う…ん…」       〈ほんとに良いの?〉    「…」   〈大空を羽ばたいて…自由になりたいって… そんな自由で良いの?〉   「…」   〈すごく気持ち良いわよ… 風をきって… キラキラ光る太陽を浴びて… 自由に… 大空に… さぁ…羽… つけるわよ〉         「い…や…」   「いや!…いやー!!」       「私は…私は…」   「やっぱり、そんな自由が欲しいんじゃない…」   「私… 私が欲しい自由は… 私が感じたい空は…   みんなと一緒に 自転車に乗って…   勉強して…   買い物して…   アイスクリーム食べて…     お母さんに怒られて…   笑って…   泣いて…   みんながしてる事 元気なみんながしてる   普通の事…   窓から見る こんな小さな空ではなく…   誰もいない空を1人で羽ばたく 寂しい空ではなく…   みんなと 普通に暮らせる 自分の上に広がる 大きな 大きな空…   自分の力で   大空を感じたいの…」        〈そう… じゃあ…私はいなくて良いわね …この羽も…〉       「ええ…いらない…」    image=183411943.jpg
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