トゲトゲ痛~村上 隼人~

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 学校の聞き込みは、先輩に任せて、俺は車で待機。無線の受け答えをしていた。しばらくして、先輩が帰ってきた。 村上「どうでした?」 先輩「何が、どうでした?だ。主語がないから、わからんぞ」  いやいや、聞き込みについてに決まってるだろ?それとも、可愛い女子高生はいましたかって聞くとでも思ってんのか? 村上「すいません。聞き込みで、有力な情報はありましたか?」 先輩「…被害者が特に興味があったのは、去年、千葉にできた遊園地……」 村上「東京ディズニーランドですか?」 先輩「…東京ディズニーランドに、同じく去年の冬に警視庁に摘発された愛人バンク『夕ぐれ族』…ガキの分際で色気づきやがって…まぁ、今年も横浜のホームレス襲撃事件も中学生8人が犯人だったしな…まったく、最近のガキは…」  その事件、8人じゃなくて10人ですよ。と、言いたかったが止めておいた。 村上「なるほど…つまり、被害者は甘い誘惑に乗って、犯人についていった可能性が高い…って事ですか?」 先輩「まぁ、そんな感じだろうな。そろそろ署に戻るか…」  俺達は、署に戻って他の刑事達と情報交換…会議…すっかり遅くなった。アパートに帰ると、鍵が開いていた。俺は、仕事を家庭に持ち込むのは嫌だった。父親も、同じように家庭に仕事の辛さを持ち込まなかった。俺は、自らの頬を一発殴って気分を変える。そのまま、ドアを開けた…  部屋に入ると、カレーの匂いがした。テーブルには美鈴が座っていた。 美鈴「お帰り」  ただいま。を言おうとした瞬間、俺はギョッとした。彼女の手には、長細い針が握られていた…
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