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館のドアが開く。中から、昨日の占い師が現われた。
占い師「えっと…しばらく、お休みにするので、またのご来店をお待ちしております…」
占い師はドアを閉めようとした。
義人「ちょっ!まって、話を聞いてくれ」
義人はとっさに、ドアの間に片足を入れた。
占い師「…なんですか?」
義人「昨日の占いについてだ!」
占い師「あぁ…昨日の…失敗した人ね…まぁ、いいです。どうぞ、中へ…ラッキーコースでいいですか?」
義人「なんでもいい…とりあえず、足が…痛い」
二人は部屋へと入っていった。
占い師「で、聞きたい事とは?」
義人「昨日、水晶に映った映像なんですが、自分の嫌いな物が何度も何度も映りました。これって、何を意味しているんですか?」
占い師は、顎に手をやって、少し考えた後に話しだした。
占い師「たぶん、それは…過剰反動効果でしょう。輪廻転生前に好きだったものが、転生後から、すごく嫌いになるケースは多々あります」
義人(つまり、俺は針を人に突き刺して喜んでるような、変質者だったのか?…信じられない…)
占い師「もう、よろしいですか?私も忙しいので、さっさとお代をお願いします」
義人は、占い師に金を払って店を出ようとした。
占い師「ちょっと、待って下さい」
義人は振り返った。
占い師「魂を呼び寄せる儀式、あなたが初めての失敗でした…あなたの前世がどんな方かは、わかりませんが…何か困った事があったら、私に連絡して下さい。それでは…」
占い師の名刺を手にいれ、店を出た義人。駅の喫煙所で一服しながら、考えていた。
ブルルルル!ブルルルル!
義人の携帯が振動した。電話は、五木からだ。
義人「もしもし、なんだ?まだ暇を持て余してるのか!?」
五木「そんなんじゃねぇ!実は、桜が…」
五木の声は、普段聞いた事のない真剣な声だった。
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