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電話を持つ手に、嫌な汗が滲む。
五木「桜が、昨日の夜から家に帰ってないって言うんだ!…俺のオフクロと桜ママが仲良いから…昨日、相談の電話が来たんだ」
義人「…桜ちゃんの携帯は?繋がらないのか!?」
五木「それが、何回かけても『電波が無い所にいらっしゃるか、電源が入っていない為…』になるんだ。桜は、真面目な娘だろ?桜ママの話だと、こんな事は初めてらしくて…警察に捜索願い出すか、出さないか迷ってるらしいんだ」
義人「…渋谷で別れてから、帰ってないって事は…」
義人は時計を見た。午後三時。桜と別れたのが、夜の九時頃…18時間以上経過していた。
義人「俺の責任だ!俺が…家まで送ってあげてれば…」
五木「オマエ、送ってやんなかったのか!?…何やってんだよ…俺は!オマエだから…もう、いい。俺は桜を捜す」
義人「僕も一緒に…」
五木「…別々に捜そう。俺、今、オマエの顔みたら、ぶん殴りそうだから…見つけたら、すぐに連絡しろよ!」
プッ…ツーツー…
電話が切れた。僕は、この時初めて気が付いた。五木は、桜の事が好きなのだ。と…
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