先端恐怖症

2/8
7099人が本棚に入れています
本棚に追加
/124ページ
《昭和5X年4月X1日》  神奈川県横浜市、藤が丘駅から少し離れた帰り道。女は入社2年目。初めて任された仕事に、てんやわんやで、すっかり帰宅が遅くなった。  電柱に備えつけられている電灯がチカチカしていて、非常に歩きづらい。 ざっざっざっ ザッザッザッ  気のせいか、自分の足音の後に、他の足音が重なって聞こえるような気がする。振り向いてみる…  しかし、誰もいない。女はまた、歩き出す。 ざっざっざっ ザッザッザッ  ふいに目に入る、『痴漢に注意』の看板。  急に恐くなった女は、自宅まで走ろうと思った。  その瞬間、首筋にチクッと小さな痛みを感じた。 女「…何!?身体が…動かない…」 チクッ  また、身体に小さな痛みを感じた。 誰か!!  女は叫ぼうとしたが、声がでない。 ざっざっざっ…  誰かが後ろから、近づいて来る… ル~ルルル~ル♪ ラ~ラララ~ラ♪  鼻歌が聞こえた。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!