トゲトゲ痛~村上 隼人~

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《昭和5X年4月…》  日本は景気も良く、映画は『戦場のメリークリスマス』がヒット。俺も美鈴と見に行った。テレビは『おしん』流行語は『いいとも』『にゃんにゃん』まぁ、クールな俺は使わないけど…  つまり、浮かれてるってのが今の世の印象だ。そんな中、まさかこんな事件が起きるとは思ってもみなかった。これじゃ、まるで外国の猟奇殺人事件だ。  凶器は、形も大きさもバラバラでどこでも手に入るような針だし、指紋もついていない。そんな事を考えていると、食事を終えた先輩が一服しながら話だした。 先輩「さて…この辺りの聞き込みは、他の連中にまかせて、俺達は別行動を取るぞ。車出せ」 村上「いいんですか?大体、どこへ?」 先輩「いいか、よく考えろ。ドラマなんかじゃ、都合良く目撃者が現われて、捜査は急展開…なんてパターンだが、現実は違う。聞き込みするのも、張り込みするのも、ピンポイントだ。まずは、被害者の通っていた学校へ行く。親より、周囲の友人の方が被害者の事を良く知っているはずだからな…」 村上「なるほど…勉強になります」 先輩「わかったら、さっさと車出せ」  多少イラっとくる上から発言もあるが、さすがに馴れている。俺は、被害者の通っていた学校へ車を走らせた。
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