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午前零時を知らせる柱時計のボーン、ボーンという音が聞こえたとき俺はその音に交じって別の音を聞いた気がした。
…ズズ…
っていう音。
さいしょは気のせいだと思った。
考えすぎの空耳だと自分に言い聞かせた。
でもそれは気のせいなんかじゃなかった。
柱時計の音がなり止んだ後また
…ズズ…
って音が聞こえたから。
それは応接間側とは反対の、この家を端から端まで突き抜ける板張りの長い廊下の方からだった。
…ズズ……ズズ……
やっぱり変な音がする
俺は怖くなって布団をかぶろうとしたんだけど体は動いてくれなかった。
金縛りになっていた。
…ズズ……ズ……ズル…
音はこっちにむかって近づいてくる。
途中から何かを引っ掻く音も聞こえてきて俺はもうパニック状態。
…ガリィ……ズズ……ギリィ……ズル……ギィイ……ズルズル……
その音は障子をあけたままにしてある所まできて障子の影で止まった。
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