第一章:始まりの詠

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いつからだろう あいつが泣かなくなったのは・・・ あの日の空は青く澄み渡っていて、とても眩しかった・・・。 俺はただ無にそんな空を仰いでいた。 翼「詩ちゃん・・・」 先ほどからずっと泣き止まない幼馴染にむかって名前を呼んだ 真っ白い教会の片隅・・・・ 人目につかない木陰に僕たちはいた。 翼「詩ちゃん・・・戻ろうおじさんたち・・・探してたよ?」 木の根に腰を下ろして、 両膝を抱え必死に声を押し殺して泣いている少女はゆっくりと顔を上げた。 詩「やだ・・・私パパとママの傍にいる・・」 詩奈の両親は、家族でのドライブ中に事故に遭って亡くなった。 奇跡的に詩奈だけが助かって・・・ 翼「だって・・・詩ちゃん・・・詩ちゃんのパパとママはもういないんだよ?」 こんな幼い少女に両親の死を受け入れろと言っても受け入れられるはずはなかった。 それでも、いつかは受け入れなければならない。 詩「なんで・・・なんでそんなこと言うの・・・?パパ言ってたんだよ・・・?ずっと家族3人一緒に幸せに暮らそうって・・・」 詩奈の気持ちは痛いほどわかる・・・ 自分にとって大切な人が目の前からいなくなって、 逢えることも、触れることもできない痛みは、 最愛の妹を病気で亡くした僕には 今の詩奈の気持ちを理解できる。
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