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通い慣れた通学路。
家から学校までは近距離なので俺はいつも歩いて登校している。
まぁ特別変わった事もなく、三丁目の煙草屋の前を通り過ぎ、十字路を右折する。
『やべ、ちょっと急ご』
携帯の時計を見る限りこのままでは遅刻ペースだ。
しょうがなぇな…近道すっか
普段はあまり使わないが近道的な通路が佐藤さん家と佐藤さん家のあいだに存在する。
そこは人が一人入れるぐらいで塀を乗り越えて行かなきゃ通る事ができない。
俺がまだ小学校の時はしょっちゅう通ったもんだが、さすがに高校生にもなるとちょっくら恥ずかしい。
誰かに見られたら笑いもんだな…
前後左右確認!ついでに上下も確認!
そして念のためもう一回確認!
この時点で十分に怪しいのだが…。
辺りに誰もいない事を確認すると先に鞄を塀の向こうに投げ入れ、塀に手をかける。
…よっこらしょっ!!…ぶっ
失礼、力みすぎて屁をこいちまった(笑)。
『うーん、絶景かな絶景かな!!』
塀の上に立つと普段とまた違った目線が気持ちいい。
『さぁて、時間もないし急ぎますか』
俺は塀から飛びおりた。
が、次の瞬間!!
バリバリバリバリ!!!!
けたたましい放電音と共に目の前が真っ暗になった。
『なんじゃこらぁぁぁあ』
俺は訳がわからないまま錐揉み状態のまま落下していく。
『母様さいなら…』
俺の意識はだんだんと薄れていくのだった…。
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