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『…なぁ、おまえ名前は??』
『ふぇ?』
全力で料理にがっついていた俺に反対向きの椅子に跨がっているレイジが問い掛けた。
『名前を教えてくんねーか??』
もう一度繰り返すレイジ。
『あぁ…、俺は和田一眞(ワダカズマ)。飯あんがとな!すっげえうまかったよ!』
『そうかいそうかい!そいつぁよかった。』
屈託のない笑顔で頷くレイジ、あらためて見ると、長身にすっと通った鼻筋、小麦色の肌、若干茶色みがかった髪に漆黒の瞳、かなりの男前だった。
『カズマか、珍しい名前だな…、それにしてもなんでモンテの森のど真ん中でぶっ倒れてたんだ??』
訝しげに問い掛けるレイジ、目には疑問の念が見える。
話しの流れからして俺が森の中でぶっ倒れててレイジが介護してくれたらしい。
しかしなんでまた森ん中に…、モンテの森?さっぱりわかりゃしねぇ。
『いやそれがさっっぱりわからん、俺確か学校に行く途中だったのにな…。てかここどこだ??』
『学校??…なんじゃそら?、ここはティーン、緑の村ティーン…知らんのか?』
全力で首を縦に降る俺。
泣きたくなるわ。
『…どーやら旅人ってわけでもなさそうだ…、カズマだっけか?全部話してみ?』
…俺は包み隠さず話した、日本のことも、真っ黒い穴のことも……。
まだこの時は気付いていなかったんだ。
これから起こり始める事の深刻さに……
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