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段々遠ざかっていく犬を見ながら、小さく溜め息を吐く。
すると、何処からか小さく、みゃー、と鳴く声が聞こえた。
顔を起こして辺りを見回すも、目立った場所には何もいない。
気のせいかと再び顔を俯かせれば、今度は後ろの植え込みの近くから小さな鳴き声が聞こえた。
その声に立ち上がると、植え込みに近付いて静かに掻き分けていく。
するとそこには、段ボール箱に入れられ、ぽつぽつと降り始めた雨の冷たさに震えている猫がいた。
段ボールの張り紙を見て、捨て猫だとすぐに分かった。
猫を抱き上げると、暖めようとするように抱き締める。
始めのうちは見知らぬオレが信じられなかったのか、引っ掻いて抵抗していた猫だったが、やがて慣れてきたのか大人しく抱かれていた。
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