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それから、猛特訓の日々が続いた。
都合が合う日はアリシアに裏山に来てもらい、暇だったら一応テッドの話を聞きに行く。
アリシアとの特訓はバレたら困るので、ウィルが頼み込んで犬の件ごと2人には黙っててもらうことにした。
リンは不満げだったが、それでも魔法習得のためと聞いて渋々納得したようである。
休み中に行われたマジカルロワイヤルの筆記試験はウィルには易しすぎるもので、簡単に本戦への出場権を獲得することができた。
長期休暇はあっという間に終わりに近付き、翌日からは後期が始まろうとしている。
それはつまり、マジカルロワイヤル開会式の前日というということでもあったのだ。
――さて、その頃のウィルはというと。
「よし」
布袋を提げて、ウィルは自室から出て行こうとしていた。
袋の中身は、紙に包んだ野菜や果物などである。
それらは全て傷んできたもので、ウィルがメイドに頼んで捨てる予定の食材を運んでもらったものだった。
ウィルは部屋を出ると、軽やかな足取りで階段を降りていった。
が、そこで自分の不注意さを深く恨む。
降りたところで、ちょうど母、リオーヌと鉢合わせてしまったのだ。
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