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リオーヌは長いブロンドの髪を持つ、美しい女性――だった。
年をとり30代の半ばに差し掛かった今は、顔の造形こそ整ってはいるものの、肌や髪は荒れてしまっている。
それはもちろん、昼間とはいわず一日中酒を浴びるように飲んでいるせいで、今もリオーヌの顔は紅潮していた。
「あんた、またそんなことやってるんだ」
リオーヌはウィルを邪険そうに睨みつけると、ヒックと一つしゃっくりを漏らす。
どこからどう見ても酒乱なのだが、エウリットは普段家にいないため誰もそれを止めようとはしないのだ。
もっとも、例えエウリットが家に帰ってきてもリオーヌと顔を合わせるかどうかすら怪しいが。
「……別に、関係ないだろ」
ウィルは顔を背け、リオーヌの脇を通り過ぎようとした。
リオーヌは舌打ちをすると、ウィルの背中を軽く突き飛ばす。
「陰気なガキ。目障りだっていつも言ってるでしょ。私の前に現れないでよ」
リオーヌはそれだけ言うと、くるりと振り返って廊下を歩いていった。
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