5.開戦!?マジカルロワイヤル

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ユーゴには親はいなかった。 物心つく頃から、この孤児院で暮らしていたのだ。 「えー、ウィル兄ちゃん遊ぼうよー」 「つまんなーい」 ダダをこねるちびっ子達。 ウィルは曖昧な笑みを浮かべることしか出来なかった。 「そっか、じゃ僕は仕事あるから」 ユーゴは袋を提げて、孤児院の中に戻っていった。 仕事というのは、孤児院の院長であるシスターの内職を手伝っておくことである。 夢のために魔導の勉強をしたかったユーゴだったが、そのためには莫大な金が必要だった。 そもそも魔導とは、金に余裕のある貴族の子供が習うもの、というのが一般的な見方なのだ。 ユーゴは朝は無理を言ってやらせてもらっている牛乳配達のバイト、昼は魔導院の講義、夜は内職の手伝い兼チビ達の面倒を見ると、ハードな日々を送っていた。 せっかくの長期休暇中でも、ただ夜の予定が昼に移っただけである。 自習もしなければならないため、ひょっとしたら逆に忙しくなったかもしれないくらいだった。
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