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何だこいつと思いつつも、ウィルはさっさとその場から立ち去ることにした。
今は虫の居所が悪く、面倒なことに関わっている余裕はないのだ。
すたすたと、早歩きでウィルは道を進んでいく。
ぺたぺたと、全く同じ速度の足音が後からついて来た。
「……ああもう! 何でついて来るんだよ!」
我慢出来ずに、ウィルは振り返って怒鳴りつける。
少女はにこにこと笑っていた。
「だって、私この町に来るの初めてなんですもの。とりあえずあなたに着いていけば、変なところに行かないだろう思って」
「あのなぁ!」
この田舎者がと罵ろうとして、ウィルはあることに気付いた。
この少女、身なりは貧乏くさい服装だったが、指輪など身につけている小物はなかなか高価そうなものである。
田舎者、とは言い難いだろう。
「お前、何しに来たんだよ」
「はあ。言えないことが一つと、あとはここで行われる魔導大会の観戦ですわね」
ゆっくりマイペース話す少女に、ウィルは面食らってしまった。
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