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――長い、拷問にも似た空の旅が終わった。
ようやくプティに解放された2人は手頃な丘に降ろしてもらうと、必死に説得をしてプティにお帰りして頂く。
「ま、また暇になったら顔を出すぞい」
去り際にプティは恐ろしいことを言っていたが、2人は聞かなかったことにした。
「……さて、ウィル」
丘の下には雄大な荒野が広がり、夕日によって灼熱の色に染め上げられていた。
テッドはそんな光景を眺めながら、ウィルに質問を投げかける。
「これからどこに行くつもりなんだよ。勢いで飛び出したのはいいけどさ」
「そうだね」
ウィルはテッドの隣に並ぶと、一緒になって沈みかけの太陽を眺める。
「魔界かな」
ウィルの放り投げた言葉に、テッドはあんぐりと口を開けた。
長旅によって頭がおかしくなってしまったのではと、いらぬ心配までし始めてしまう。
しかし、夕日を見つめるウィルの瞳はどこまでも本気だった。
(これからもっともっと魔法を知って……いつかは迎えにいってやるからな)
ウィルはまだ、諦めたわけではないのだ。
(ロサ)
いつかどこかで再会出来ると、心の奥底で信じながら。
ウィルは、眩いばかりの未来に向かって歩き始めた。
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