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一方、こちらはラティニア城の玉座の間である。
玉座にはウェーブのかかった金髪と顎髭を伸ばしたラティニア王――ブラン・エテルネル・エクレイルが座り、その前にはエウリットが跪いていた。
「まだ研究の成果が挙がらんのか」
今年で52歳になるブランだったが、誰も寄せ付けない圧倒的な威厳は未だに健在だった。
「申し訳ありません。ですが、サンプルとなる素材の入手が困難なのです」
平伏するエウリットを、ブランは何を考えているのか分からないような冷徹な目で睨み付ける。
「分かっているのか? この研究の結果如何で、戦況を大きく動かせるのかもしれないのだぞ?」
「申し訳御座いません」
エウリットは何も言い返すことが出来ず、もう一度謝罪を繰り返した。
ブランははあと深くため息をつくと、頭を抱えて忌々しげに独りごちる。
「ドゥエロスめ、アポカリプスを奪っておいて今さら何を……!」
深い皺が刻み込まれた顔には、憤怒の色がありありと浮かんでいた。
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