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そんなやり取りを仰向けになりながら見ていたウィルだったが、ふとダッツと目が合った。
「なんだ、随分暇してるじゃねえかウィル。稽古でもつけてやろうか?」
「え!? い、いいよ。そんなことしたら夜まで体力が保たないっつの」
こんな田舎にまで来て稽古漬けは嫌だと、ウィルは慌てて返事をした。
「そうか、なら、ラジの水汲みを手伝ってやれ」
それを待ってましたとばかりに、ダッツは素早く切り返してきた。
それが本題かと、ウィルは仰向けのままげんなりとした表情をしたが、
「ま、いいけど」
と手伝いを了承した。
どうせ暇だったので、その程度のことだったらむしろ歓迎する程だった。
「あ、よ、よろしくお願いします」
丁寧にお辞儀するラジを脇目に、ウィルはトルケッタで借りた水瓶を持ち上げる。
「んじゃ、早速行くか」
テントから颯爽と出て行くウィルには、何故か恥ずかしそうにしているラジが不思議でならなかった。
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