最終章 永遠の星屑

26/30
2393人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
子供の時と同じように、砂の足場の悪さに杏子は転んでしまった。俺はその隙に杏子に追い付き杏子の前にしゃがむと、ポケットからハンカチを取り出して、杏子の膝の傷口の砂をはらい、そのハンカチを膝に巻いた。そして俺はゆっくり顔を上げて杏子を見上げると、とうとう我慢の限界を超えて静かに杏子を抱きしめてしまった。 「キョウ…!」 その名前を声にするだけで、胸がはち切れそうだ。情けないくらいだ。こんなに自分が女々しかったなんて…。 「会わなければ、忘れられると思った。離れなきゃお前は幸せになれないと思って、あの時さなえを選んだ。杏子を苦しめることは分かっていたけど、…俺以外の人なら、必ずお前を幸せにできるはずだと思った。……だけど、武彦くんと杏子を見てたら、腹がたったよ。俺はやっぱり堪えられない。ずっと、杏子を愛してた。今までも、今もこれからもずっと!」
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!