平穏

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「……ス…ア……有澄!!!」 「………う…あ?」 「………う…あ? …………じゃなぁーいっ!!今何時だと思ってんの!?」 打って変わって、耳にはっきり響いてきた声に意識が引き戻された。 未だぼんやりする視界には呆れ顔の見慣れた姿。 すぐに閉じてしまいそうな重たいまぶたを必死でキープしつつ、私の周りの賑やかな様子を眺め、ついでに視界に入ってきた壁掛け時計に目を向けた。 「……んん…………お昼休み?」 「ご名答~♪………じゃなくて!あんたいつまで寝るつもりなわけ!?」 「………あとちょっと~」 やっぱり眠気には適わない。 ついさっきまで突っ伏していた机に腕を置いて枕を作り、再び頭を乗せて寝る体勢。 しかしそれを許してもらえるはずもなく 「却下!!あんた三時間目の授業からぶっ続けで爆睡してたでしょ!? いい加減起きなさい!!」 肩を掴まれ激しく揺さ振られて強制的に起こされる。 ……しかし眠いな。お昼寝というのはどうしてこうも気持ちよいものなのか。 「うぅ~~……」 薄目で唸ってみる。 「そんな悲しそうな顔してもダメ! ほら早くお弁当食べよ」 駄目だった。 私の机と前の席の机をくっつけて、さっさとお弁当を広げる様子をボーッと眺めて、理解した。 私は今、お腹が空いている。 だってお腹が元気に鳴っているんだもん。 さすがの私も空腹には勝てず、のっそりと机から顔を離した。 「………ぅん…。ふあぁ…」 「そんな豪快な欠伸しないの!せめて口くらい隠しなさい!」 ベシッと箸箱で頭を叩かれた。 「う………痛い…」 ボソッと呟くが、目の前の叩いた本人は黙々とご飯を口に運んでいる。 ……愛のムチだと思おう。
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