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雨の中ぽつんと立ち尽くしている小柄な男の子が居た。
何してるんだろう?っと思い、その男の子の近くに歩み寄る。
「ねぇ、こんな雨の中傘もささないで何しているの?」
『………』
「ありゃりゃ?無視?」
その男の子は目が虚ろで、ぼぉっと下を俯いたまま。
「何か知らないけど、そんなカッコウじゃ風邪引くよ?」
男の子の腕を掴んだ瞬間、強く叩き落とされた。
その男の子は、あたしを悲しく、憎しみが籠っている目で睨み付けた。
『……さっきから、馴れ馴れしくボクに話掛けないでくれる…?』
「なぁんだ、喋れんじゃん」
『…?…何言ってるの?バカにしてる?』
「いやいや、雨の中ずっと居たからさ、ちょっと気になってね」
あたしがそう言うと、ふ~んっと興味なさそうな声で喋る。
『…だったら、どっかに行ってよ』
「何で何処かに行かなくちゃいけないの?君一人になるじゃん?」
『……ボクは、生まれた時から一人だよ…』
「は……?」
男の子の言葉にズキンッと一瞬だけ胸が痛んだ。
だけどその痛みを無視し、男の子に向かって笑い出す。
「あははっ…あたしなんて実の親に捨てられて一人ぼっちなんだよ?」
『えっ…?』
驚いた表情で彼女の顔を見る。
「だから君とあたしは'似た者同士'だね!」
あたしがそう言うと、男の子は泣きそうな位にあたしを見つめた。
「だからさ、こんな所に居ないで行こう!」
『…何処に?』
「ん?あたしの家!そんなにずぶ濡れになっちゃったし、本気で風邪引きそうだから、ね?」
そんな笑う彼女に、一瞬だけ胸が高鳴った。
『……うん…』
「じゃ、行こっか?」
彼女に手を引かれながら、一緒に歩く。
悲しい表情だったけど、男の子は少し微笑んだ。
―――――――…………
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