1人が本棚に入れています
本棚に追加
再会
数日後……意外な場所でアイツとの再会を果たした。私の中じゃ、半ば忘れかけてたことだったのに…。
「…次、日本史か…たまには、いいよねっ」
そう呟くと、私は教室を後にした。
“カチャ”
眩しい光と、心地よい風が体を包み込む。
「んっー…やっぱ、こーゆー時間も必要よね」
そう、所謂…エスケープ、サボり。
見た目が物静かで普段真面目に授業聞いてる子はサボらない……そんな偏見持たれたらこっちが疲れちゃう。
空を仰いで深呼吸をひとつ。
「へぇ…、アンタでもサボることあンだ?久しぶり、工藤美琴さん」
聞き覚えのある声が、私の休息を遮る。
「……貴方、誰?」
「…ふーん、噂通りだな。俺のこと覚えてない?最近、雨宿り中に劇的な運命の出逢いがあったろ?」
「…あれ…貴方だったのね。同じ学校で尚且つ、サボり魔だったから…私服を着ていたと…」
「そーゆーこと。ど?運命の再会を果たした気分は」
「…別に…興味ないもの。面倒なだけよ…男なんて…」
そう答えると、ふとやりきれなさを感じて…空を仰ぎ見る。
……モウ、メンドウ……。
自分の意地が邪魔して、人との間に壁を作る。
相手が男なら尚更よ、価値観そのものが違う…解り合えるわけないもん。なら、一人で良い…これが私の出した結論。
「……興味ない、面倒。今だけさ、そう言ってられんのは…」
“ゾクッ”
耳元で聞こえる、低く艶やかな声に体が、ビクッと反応する。
な…何なの?この人…。
チラッと相手を見遣ると、私の反応を楽しんでるのか、何とも言えぬ笑みを浮かべてる。
最初のコメントを投稿しよう!