1人が本棚に入れています
本棚に追加
交わらない心
2週間と言う期限はつけたものの、顔を合わせず通すっていうのは無理がある。
約束を交わしてから3日…学校にロクに出てこなかったアイツは、毎日来てるんだもん。授業をサボろうにも、常に見られてたら身動き取れない。
そんなことを考えながら、ぼぉーっと窓の外を眺めてる時だった。
「あの…工藤さん、頼みたいことがあるの」
「ん…私に出来ることなら」
クラスメイトの問いかけに微笑んで応える。
「あの…彼に、えっと……黒羽くんに渡して欲しいの」
可愛い封筒を差し出すクラスメイト。
よりによって…アイツ宛。私はどの選択肢を選んだら関わらずに済むか…。
封筒を受け取らずに、微笑んで相手を見る。
「聞いてあげたいところだけど…こーゆーのは自分で渡さなきゃ、伝わらないよ?」
「でも…最近の彼、工藤さんからじゃなきゃ受け取ってくれない気がするし…」
「そんなこと無いと思うけどな。私が行っても受け取って貰えない可能性あるだろうし…そーゆー結果になったとしたら、自分で動いた方がスッキリするんじゃない?」
伺うように尋ねてみる。
「そうかも…工藤さんのおかげで、自分で出来そう。ありがとね?」
若干明るくなった表情に「頑張ってね」と背中を見送ると、軽く溜め息をついた。
ピンチを切り抜けた安心と…まだまだ、こんな状況が続くっていう…何とも言えない微妙な心境…。
再び、外を眺め始めた瞬間…頭上から降ってきたのは別の声。
「受け取ってやれば良かったのに。美琴が持ってきたら、手紙受けとるより抱き締めてやったのになぁ」
「……最低。だから、信用出来ないのよ。同じ空気吸ってるだけで腹立つ」
そう言い放つと席を立って教室を出た。
最初のコメントを投稿しよう!