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あんなこと言っちゃったけど…腹立ててる相手はアイツじゃない。多分…自分。興味無いはずのアイツのことを考えてる自分に苛々して…ホント、バカみたい…。
屋上を吹き抜ける風は優しくて…さっきまでの苛々も自然と消えてく。
“パタン”
扉の音に振り返ると、笑いながら歩いてくる広人の姿があった。彼は、唯一私が安心して話せる相手。
「やっぱ、此処だったか。探したよ」
「ごめん…何か、どーしていいかわかんなくなっちゃって…」
「美琴はさ…本当に黒羽と初対面?」
「ん…クラスに居ることも知らなかったくらいだし…何で?」
「そっか…、いや…黒羽みたいなタイプのヤツ今まで何人も居たろ?アイツに対してだけ…美琴の態度過敏だからさ、過去に何かあったのかと思って」
「今までと変わらないつもりだけど…そんなに違う?」
「ん、かなり違うよ。美琴、疲れんじゃないのかな…ってくらい、アイツに嫌われるような憎まれ口だしさ…大丈夫か?」
笑って頷く。
広人の言葉にズキッと来るものがあった…何だか分からない。
けど、『過去にあったんじゃないか』『嫌われる憎まれ口を叩いてる』……胸が痛い。
「…美琴?」
「あっ…ごめん。大丈夫、ホント大丈夫だから…ね?」
「…ったく、何かあったら言えよな?」
「ん、ありがとね」
呆れ笑いな広人。…分かってくれてるんだよね、でも…決して踏み込んで来ることはしない、アイツと違って…。
だから、安心出来るのかもね。
教室に戻ると、アイツの姿は無かった。代わりに机の中に残された1通の手紙。ノートの切れはしに残された、アイツの筆跡の手紙。
“話がある。放課後学校裏の土手で待ってる”
「別に話すことなんて…。まさか、諦めて負けを認めてくれるとか…?…まさか、ね」
散々迷った挙げ句、指定された場所へ向かった。
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