目を閉じれば…

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悔やんでも、悔やみきれない。 もう… 体に力が入らないんだ。 罰が当たったのかな… 俺が悪戯ばっかりするから、だから…… たっくん。 たっくんが、あの日、俺を見つけてくれて、拾ってくれて本当によかった。 俺、本当は… すっごく、すっごく嬉しかったんだ。 お姉ちゃん。 お姉ちゃんは、最後まで俺のことを“ナナ”って呼んでいたね。 俺は雄だよ。 そして、名前は“タマ”だよ。 お父さん。 お父さんが新聞を読んでいるとき、俺はよく膝の上に乗ってあくびをしていたよ。 でも、お父さんは俺に怒ったりしなかった。 優しく頭を撫でてくれた。 お母さん。 いつも、美味しいご飯をありがとう。 お陰で、こんなに大きくなりました。 太ったのとは別にしてね。 ゴン。 俺は… おまえが羨ましかった。 たっくんと散歩をしたり、お父さんと公園でフリスビーをしたり… でも、嫌いじゃないぜ? 一回ぐらい、一緒に散歩したかったな。 前の飼い主さん。 どんな理由があったのかは知らないけど… 俺は何も恨んじゃいない。 捨てられたから、たっくん達に出会えた。 だから、これでよかったと思ってるよ。 俺… 本当に幸せだったんだ。
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