飛んだ

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厭さ、正直やってらん無い訳よ   長外套は言った。 その長過ぎる外套は地面を三メートルほど引き摺っている。   此処に来たばっかの君には分かんないだろうけどさぁ、こちとらもう千年も薄給休み無しで働いてんのよ?一度くらいボーナスくれたって良いよなあ、ねえ?   ちなみに顔は見えない。 と、言うか、無い。 外套の上には学生帽?が乗っている。   つーかさあ・・・うちの上司が悪いんだって・・・   長外套は僕を見るなり愚痴ってきた。 僕としては此処が何なのかも分かんないから非常に気持ち悪い。居心地も最悪。   大体さあ・・・親父達は若者に厳しすぎるんだよねえ、『年令が六桁に達してから来い!』とか言っちゃってさあ・・・   愚痴る長外套は放っておいて、僕は辺りを見回した。 ・・・これは・・・駅? 僕の眼前には煉瓦とコンクリートで作られた、少し見栄を張った門。 扉は無く、向こう側に改札と思わしき機械が見える。 よくよく見れば長外套が着ているものも駅員の外套と帽子にのようだ。   一体何年後の話だっつの!頭が固いのは・・・って、コラッ!勝手に入んなっての!!   前に進んでいた首根っ子を捕まれた。 ・・・外套の端で。手すら出ていない。   まーったく、最近の子は礼儀も知らんのかい。 あのね、君はまだ勝手に動いちゃ駄目なの。 自分の話す話をかっちり聞いて初めて君は乗車券を手に入れるんだから。   ・・・これを?っていうか、やっぱり駅だったんだな、此処。   っつか中間管理職ってのが一番大変な訳、分かる?   ・・・取り敢えず僕は『上と下との板挟み』出ていない手で表現しているこいつの話を聞かなくてはいけないようだ。 ・・・どれだけかかるんだろうか。
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