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(あぁどうしよう。24日は沙桐と横浜のクリスマスツリー見に行く約束してたんだ…でも今更葵に断れないし…どうしようっっ)
暫らく眉間に皺を何本も寄せて考え込んでいた陽朔だったが、沙桐になんとか頼んで別の日にしてもらおうという結論に達し、早速連絡を取るべく受話器に手を伸ばした。
トゥルルル~、トゥルルル~
『はい水無瀬です』
2コールで珍しく繋がった電話に陽朔は少しばかり驚いた。
なぜならその家の主人は多忙な人でめったに直接本人の声が電話に答えることはないのだ。
代わりに答えるのはいつも留守番電話。その無機質な機械の声を聞くたびに陽朔はいつも受話器を置いてしまっていたのだが。
「沙桐か?俺だけど」
[陽朔?どうしたの、珍しいねあなたから掛けてくるなんて。]
「そんなことはない。君がいつもいないだけだろ」
[そぅ?なら留守電にメッセージ入れといてくれればいぃのに。]
「俺は、あぁいうの苦手なんだ。」
そぅなんだ。と、電話の向こうで沙桐が笑う。
[ところで、本当にどうしたの?]
久しぶりに沙桐の声を聞いて、陽朔は一瞬話を切り出すのを躊躇ってしまった。
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