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からかい半分で言った沙桐の言葉に、それが正しく図星な所為もあったが、今回ばかりは陽朔も反抗出来なかった。
暫らく電話の向こう側とこちら側で沈黙が流れる。
先にその沈黙を破ったのは沙桐のほうだった。
[あ、そうだ陽朔。]
何かを思いついたような弾んだその声に、陽朔は少しだけホッとした。
「何?」
[その店って何時に終わるの?]
「六時には上がれるだろうって葵は言ってたけど…?」
[何だ!それじゃあそのあとに行こうよ。]
「横浜に?!」
[そうだよ。どうせ夜に行かないとツリーにライトだって点いてないだろうし]
突然の沙桐の提案はどこか陽朔には突拍子のないもののように感じられたが、用事が済んでから出掛けても別に不都合がないことに気付いて、その提案を受け入れることにした。
「そうだな…」
[そうしよう。じゃあ陽朔の用事が済んだら駅で待ち合わせしよう。]
「わかった。七時頃でいいか?」
[七時ね。よかったぁ、これでイブはあなたといられそうだね。嬉しいなぁ。]
「…あぁ」
[それじゃあその時に。]
「じゃあ。」
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