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なんていうか、俺がアイドルのオーディションとかの書類審査受かる筈がない。
こんなボサ毛(癖毛に寝癖が加算された髪の毛)で、眼鏡。顔もスペシャルに悪い。
ボサ毛は俺が面倒だからって整えないだけだけなんだけど。
学校に行けば、「キモい」などの暴言を直接ではないが吐かれる事が多々ある。
余程見た目が悪い証拠だ。
「れぇ──ん──!」
下からまた雄叫びが聞こえた。ミュージカルかなんかを自分の中でやっているんだろうか。
「あー…はいはい。」
仕方なく着替える事にした。今日は暑いし、ラフにタンクトップにジーパンにしよう。いや、選ぶ程服を持っていないのでそれしかない。
着替えを済まして階段を下りリビングの扉を開けた。
「お待たせ……。」
リビングに入ると男用のワックスを手に、こちらを見ている母さんが居た。
「ここに座って?」
「……はいはい。」
言われた通りソファに座ると、髪を整えはじめた。
いつもより視界が広くなるのが分かった。いつも前髪垂らしたままだったからかもしれない。
─────────…
「よし、完璧♪」
自信満々の声をあげ、母さんは腰に手を置いた。
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