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「蓮、眼鏡外せ。」
命令口調でこちらを睨みながら言った。少しばかり母さんに恐怖心が湧いたので大人しく外した。
「ハイ、これ付けて。」
そう言って渡されたのは、小さい掌サイズの丸い形のケースだった。
「コンタクト?」
「そう、眼鏡の代わり。」
「早く付けろよ。」と言わんばかりに母さんの目がギラギラと光った。やはり怖い。
コンタクトは初めてではないので、抵抗も無しに付けた。
「完ー成ー!」
付け終わると同時に母さんが俺の耳元でパチパチと大きく拍手をした。非常に煩い。
一体、何が起こったのだろう。
「って事で玲起こしてきて。」
「なんでそうなる。」
玲というのは一つ下の妹で、現在高校一年生だ。
可愛い分類には入ると思う。でもそういう可愛いとか格好良いとか俺にはよく分からない。
仕方が無いので起こしに行く事にした。
玲の部屋の前に止まり扉を軽く叩く。当たり前だがいきなり入るのは駄目と日頃言われているからだ。
「玲、起きてる?」
扉の向こうに声をかけるが返事が無い。
こういう場合は入って良いのだろうか。でも入らないと起きないよな。
少し迷った後、入ろうと決意しドアを静かに開けた。
「玲?」
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