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「ん~……ぎゅうど~…ん。」
中に入るとベッドの中で玲が何かを食べているかの様に口を動かしながら言った。どうやら寝言のようだ。
牛丼の夢?
「玲、さっさと起きろ。」
「…………。」
少し声を張って言うが反応が無い。
起こす手段としてはもう叩くしかない。他にもあるんだろうけど考えるのが面倒だ。
「うっ……。」
結構思いきり叩いてやった。特に恨みは無いけど、ざまぁみろだ。
なんか苦しそうな声が聞こえたが、そこはスルー。
玲は目を擦りながら、ゆっくりと上半身を起こした。
「ふぁ~ねむ…って誰!?」
妹である玲に顔合わせて早々誰と言われても困る。というか軽くショック。
「……め、めっちゃ美形!よ良かったらおっお名前とか聞いてもよろしいですか?」
「名前って……。波崎蓮だよ。」
少し戸惑ったが、必死で聞いてきたので言い聞かせるように言ってやった。
「え!兄ちゃん!?」
見た事は無いが、玲は目を見開き豆鉄砲食らった鳩みたいな顔をした。
「キ、キャ───!お母さぁぁぁん!」
俺が頷くと、突然叫びリビングに向かって大きな足音を立てて物凄い勢いで駆け出して行った。
親に似て騒がしい奴だ。
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