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「……へぇ~アイドルのオーディションなんだ~。ガンバ兄ちゃん!」
「……頑張りたくない。」
リビングに駆け込み騒いでいた妹に母さんが今日のオーディションの事を話した。
「蓮!あんたダンスとか得意なんだから上手くアピールするのよ!」
いつ俺はダンスが上手いと知ったんだ。そもそも一度も踊った事無いはず。
地味に生きる人間だからだ。
「……あらーもうこんな時間?蓮、急いでオーディション会場に行って!」
「え、何時から?」
「……10時半かな?まぁとりあえず東駅降りてすぐ近くにある会場だから。」
時計を見ると早く行かなければ間に合わない時間だった。急がなくてはならない。
「やば……じゃあもう行く。」
「兄ちゃん絶対アイドルになってね!友達に自慢出来るから!」
玲は目をキラキラさせながら俺に言った。これは玲のために頑張る方向になっているのか。
「………。まぁ頑張ります。」
けど絶対受かる気がしない。俺には全体的に欠点が有りすぎる。
「じゃあ行ってきます。」
「「行ってらっしゃ──い!」」
家を出ようとした俺に2人は玄関で叫びに近い声を出した。2人揃うと凄まじい。
いつもこの光景を見ると御近所さんには怒られないのか心配だった。
それとも日常茶飯事だからもう御近所さんは気にしないようにしてるんだろうか。
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