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次の日もその男は来た
「名は何と言う?」
「お客さんとして来てくれたら何でも教えますよ?」
「……また来るわ」
その次の日
「名は?」
「店の中入らんかぎり教えません」
「……うん、また来る」
聞いて答えられへんかったら帰ってていく……
それを毎日繰り返してもう一月が経った
「紅(れん)さん、何や良い事あったん?」
「なして?」
「なんや顔が最近明るぅなっとるよ」
明るい?私が??
「……そうやろか?」
「あら、あのお侍さんやない?紅さんによう名前聞きよる」
「ああの、にこにこ顔の!」
「やめてや、ウチはそんな事で明るぅなったりせん」
あのお侍さんの話は今、この店で少し噂になっている……それは私に唯一落ちることのないお客さんやからや
ウチに落ちん男がこの世におるなんて……
せやけどウチもウチ……そんな人に何故か今は逢える事が嬉しいと思い始めている。いつもあん人を探している自分がおる……
せやから、みんなから明るいって言われるのかもしれんなぁ
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