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気を失ったんはほんの少し……
若い浪人さんが私を殴っていた男を殴って、倒れたところをなんや耳元でつぶやいとったくらいしか思い出せん
「大丈夫か?」
廊下を私を担いで浪人さんはそう言うた。声を出そうにも力が入らんから頷く
「ちょっと部屋移動するけん待っとれよ」
低い声が優しく聞こえた……
部屋に着くと、浪人さんは私を布団の上に寝かせてくれた
「ゆっくり休んどけ」
そういうと他の遊女を呼んでは何か言うてる声が聞こえた
なんなんやろ?助けてくれた事なんかない私にとって全く理解もできんことやった
「これで顔ふけ」
手ぬぐいに水野入った桶を持ってきてくれた
「……一人でふけるか?」
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