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キーンコーンカーンコーン
「やっと終わった」
時間配分は完璧。
あとは結果のみ!
「テストお疲れ!どうだっだ?また完璧?」
背中を叩かれて少し眠気が飛ぶ俺を見て笑顔で問いかける巳紅。
「うるさい。お前とはそんな軽々しく話す仲じゃない。」
軽く突き放す感じで動くと
「え~??もしかして未だに変な過去とやらに未練があるの~??」
帰ろうとする俺に巳紅はそう言った。
「お前には関係ない!!」
家へと帰る俺はまた黙り気味のまま教室を後にした。
「くそっ!!!」
帰宅路の電柱に向かって殴った俺の目は涙でいっぱいだった。
昔…俺は沢山の過去の中で一番失いたくない人を失った。
あの子の名前は確か瞳月だったはず。
笑顔が可愛くていつも笑っていて悲しい時は励ましてくれた瞳月。
長い髪はいい匂いでくまさんの人形をいつも抱いていた。
だけど桜が散る頃に瞳月は交通事故でこの世を去った。
その時は頭の中がが真っ白になりずっと泣いていた。
まだ俺が小学3年生の時の話だ。
生まれてきてずっと一緒だった瞳月がいなくなってからは俺の人生は世界ごと変わった。
何事にも笑わなくなったし、涙もあれ以来出なくなった。
この人生に転機は来ない。
どれだけ望んでも瞳月は帰って来ないとわかっていたが望んでしまう。
「瞳月……」
涙を拭い俺は帰宅路を急いだ。
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