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「なあ繭さ~明日勝ったらさ~俺たち…」
「可愛いでしょ。二代目シナモンよ」
『ミャン』
繭は話しを聞かずに、大樹の鼻先に子猫を突き出した。
「ワッ!!!」
大樹は驚いて、手すりからずり落ちてしまった。
今度は繭が背伸びして板のはじから覗き込んだ。
「あはは。だからいつも言ってるじゃん。手すりに腰掛けたら危ないって。」
「繭~!俺は猫アレルギーだって知ってるんだろ!」
大樹はお尻をなぜながら立ち上がり、背中をよじって自分の尻を見た。
「あ~!」
大樹は突然大声を上げた。
「どうしたの?怪我でもした?」
さすがに繭も悪く思い、心配して声をかけた。
「繭~大変だよ~ケツが二つに割れちゃったよ~」
「くだらない~そんな事言ってるんなら心配なんてしてあげない。べーだ!」
繭はそう言ってシナモンと一緒に部屋に戻った。
大樹は繭が間仕切り板の向こうに消えたのを確認すると、そっとズボンの右裾をめくってみた。
大樹の右足は赤く腫れてしまった。
『まったく繭の奴、人の気も知らないで』
そう独り言をつぶやき、ビッコを引きながら自分の部屋に戻った。
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