第二章 シナモン

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「なあ繭さ~明日勝ったらさ~俺たち…」 「可愛いでしょ。二代目シナモンよ」 『ミャン』 繭は話しを聞かずに、大樹の鼻先に子猫を突き出した。 「ワッ!!!」 大樹は驚いて、手すりからずり落ちてしまった。 今度は繭が背伸びして板のはじから覗き込んだ。 「あはは。だからいつも言ってるじゃん。手すりに腰掛けたら危ないって。」 「繭~!俺は猫アレルギーだって知ってるんだろ!」 大樹はお尻をなぜながら立ち上がり、背中をよじって自分の尻を見た。 「あ~!」 大樹は突然大声を上げた。 「どうしたの?怪我でもした?」 さすがに繭も悪く思い、心配して声をかけた。 「繭~大変だよ~ケツが二つに割れちゃったよ~」 「くだらない~そんな事言ってるんなら心配なんてしてあげない。べーだ!」 繭はそう言ってシナモンと一緒に部屋に戻った。 大樹は繭が間仕切り板の向こうに消えたのを確認すると、そっとズボンの右裾をめくってみた。 大樹の右足は赤く腫れてしまった。 『まったく繭の奴、人の気も知らないで』 そう独り言をつぶやき、ビッコを引きながら自分の部屋に戻った。
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