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繭と由美は比較的に早く球場に着けた。
繭達の学校は公立の為、球場に直接集合だったからだ。
入り口の周りに、見た事のある女の子がたむろしていた。
繭達がその脇を通る時、何か冷たい視線を感じゾッとした。
繭は入場口を入り、柱の陰に隠れてその女の子達をうかがった。
「繭?どうしたの?」
由美が小声で尋ねた。
「あの子知ってる?」
「えっ?あの子なら3年の久美子のグループじゃん。進学しないから、結構遊びまわってるって噂だよ。」
繭は思い出した。
『阿部 久美子!1週間前、大樹に告ったと言う女!』
あの時大樹はキッパリ断ったって言ってた。
『だってさ~年上ジャン。俺、年上苦手だし。やっぱり彼女にするならさァ~一緒に修学旅行とか、卒業旅行とかしたいジャン』
うん。確かにそう言ってた。
繭は嫌な予感がビンビンとしていた。
でも由美に引っ張られる様にして、自分のシートに座った。
「ねえ繭?昨日の子猫どうした?」
「二代目シナモンの事ね。連れて帰った時は薄茶色だったから、前飼ってたシナモンと一緒かと思ったんだ。でも風呂に入れたらビックリ!!」
繭は持って来たバスケットの蓋を開けた。
「ほら真っ白。」
「ワッ!!本当。キレイ!!抱いてもいい?」
由美は綿雪の様なシナモンに頬ずりした。
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