第三章 決勝戦

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繭と由美は比較的に早く球場に着けた。 繭達の学校は公立の為、球場に直接集合だったからだ。 入り口の周りに、見た事のある女の子がたむろしていた。 繭達がその脇を通る時、何か冷たい視線を感じゾッとした。 繭は入場口を入り、柱の陰に隠れてその女の子達をうかがった。 「繭?どうしたの?」 由美が小声で尋ねた。 「あの子知ってる?」 「えっ?あの子なら3年の久美子のグループじゃん。進学しないから、結構遊びまわってるって噂だよ。」 繭は思い出した。 『阿部 久美子!1週間前、大樹に告ったと言う女!』 あの時大樹はキッパリ断ったって言ってた。 『だってさ~年上ジャン。俺、年上苦手だし。やっぱり彼女にするならさァ~一緒に修学旅行とか、卒業旅行とかしたいジャン』 うん。確かにそう言ってた。 繭は嫌な予感がビンビンとしていた。 でも由美に引っ張られる様にして、自分のシートに座った。 「ねえ繭?昨日の子猫どうした?」 「二代目シナモンの事ね。連れて帰った時は薄茶色だったから、前飼ってたシナモンと一緒かと思ったんだ。でも風呂に入れたらビックリ!!」 繭は持って来たバスケットの蓋を開けた。 「ほら真っ白。」 「ワッ!!本当。キレイ!!抱いてもいい?」 由美は綿雪の様なシナモンに頬ずりした。
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