第三章 決勝戦

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繭はまたも誰かの視線を感じた。 振り返って見ると、5列上に久美子と先生を見つけた。 「由美。シナモン戻して!後ろに久美子がいる。」 危なく先生と久美子にシナモンを見られずにすんだ。 クラスメートがどんどん集まって来たので、繭は久美子の事を忘れる事が出来た。 先発メンバーの発表がされた。 桶川中央高校の応援団席にどよめきが走った。 ピッチャーが大樹じゃなく3年生の黒木が告げられたからだ。 当の大樹はライトの守備に着いている。 黒木も去年までエースピッチャーだったから、3回までは何とか相手バッターを翻弄出来た。 しかしバッターも一巡して、打たれ出して来た。 繭のシートの周りからヒソヒソ声が聞こえた。 「大樹君、昨日足怪我したみたいだって。」 「まさか~黒木さんの高校生最後の試合になるかもしれないから、記念で監督が投げさせたって聞いたよ。」 繭は不安になった。 昨日の手すりからコケたのが原因? まさか~そんな素振り無かったけど。
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