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繭はまたも誰かの視線を感じた。
振り返って見ると、5列上に久美子と先生を見つけた。
「由美。シナモン戻して!後ろに久美子がいる。」
危なく先生と久美子にシナモンを見られずにすんだ。
クラスメートがどんどん集まって来たので、繭は久美子の事を忘れる事が出来た。
先発メンバーの発表がされた。
桶川中央高校の応援団席にどよめきが走った。
ピッチャーが大樹じゃなく3年生の黒木が告げられたからだ。
当の大樹はライトの守備に着いている。
黒木も去年までエースピッチャーだったから、3回までは何とか相手バッターを翻弄出来た。
しかしバッターも一巡して、打たれ出して来た。
繭のシートの周りからヒソヒソ声が聞こえた。
「大樹君、昨日足怪我したみたいだって。」
「まさか~黒木さんの高校生最後の試合になるかもしれないから、記念で監督が投げさせたって聞いたよ。」
繭は不安になった。
昨日の手すりからコケたのが原因?
まさか~そんな素振り無かったけど。
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