第三章 決勝戦

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相手チームの3番がバッターボックスに入った。 1アウトで満塁 フォァーボールさえ許されない。 ましてヒットなど絶対にダメ そんな絶体絶命な状況で場内放送が入った。 『ピッチャーの交代をお知らせ致します。黒木君に変わってピッチャー白鳥君。ピッチャー白鳥君。」 アナウンスが入ると、観客席から大拍手が湧き上がった。 大樹は両手を振ってそれに応えた。 「まったく~緊張感無いんだから。ピンチにかわり無いんだぞ。」 繭はため息をついた。 5列後ろの久美子達はもう大騒ぎだ。 大樹はピッチャーマウンドに立って黒木先輩からボールを受け取る。 「黒木先輩。任せて下さい!絶対に点取らせません!!」 「ああ、任せたぞ。」 黒木先輩はかなり落ち込んだ顔をしていた。 大樹は黒木先輩のお尻をグラブでポンと叩いて 「先輩。もしこの回0点でおさえたら、先輩のロッカーにあるエロ本1冊貰いますからね。」 黒木先輩はニヤリと笑って 「よし。もし0点だったら全部やる。だから頑張れ。」 「ヨッシャー!!!!」 大樹は大声をあげて自分にカツを入れる。 観客席には、ピンチに黒木先輩に励まされて、自分にカツを入れている様に見えて、又も大拍手が湧き上がった。 まさかエロ本で盛り上がっているなど、誰も想像してなかった。
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