第一章 応援

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そうは言っても、実際応援団席に座るとテンションは最高潮に達する。 準決勝も終盤8回に差し掛かった。 両校0対0の投手戦になった。 桶川中央高校(繭の通う高校)の攻撃で2アウトながら、ランナー2塁3塁。 一打出れば決勝点になるだろう。 しかもバッターは大樹とくれば、繭でなくても心臓バクバクになるのは必定。 なのに大樹はと言うと、観客席にいる繭におどけながらバッターボックスに入った。 「繭の彼氏って最高!」 由美が繭の横っ腹を肘でつつく。 「彼氏じゃないから。ただの幼なじみ!」 繭は口を尖らせて、由美に抗議をする。 カキーン! 『ミャーン!』 「エッ?」 繭はシートの下を覗き込んだ。 『ミャー』 「由美!子猫がいる!」 「繭!そんな事より、大樹が2塁打! エッ?猫?」 二人してシートの下を覗き込んだ。
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