第一章 応援

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繭はそっと子猫をつまみあげ 「仔猫ちゃん。あなた迷子なの?」 と尋ねてみた。 『ミャー』 「あはは。返事した、この猫。繭、この猫超かわゆくない?」 繭と由美は試合そっちのけで子猫をかまっている。 その時、大樹は2塁ベース上でカッツポーズして繭の方を振り返る。 そして、繭達が何かに夢中になって、自分のプレイを見てなかった事に気づいた。 「繭の奴、なに持ってるんだ?」 大樹はつい気になってベースを離れてしまった。 「アウト~!」 ピッチャーの牽制球にまったく気付かなく、大樹はアウトにされてしまった。 『あ~あ』 ため息とも悲鳴ともつかない声が、自分の学校の応援団席から湧き上がる。 相手チームからは、拍手と嘲笑を貰ってしまった。 大樹はヘルメットをグランドに叩きつけた。
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