第一章 応援

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試合は大樹のミスがあったものの、やはり8回の得点が効いて勝利した。 大樹達野球部員は先にスクールバスで学校に戻って行った。 繭と由美は球場の外でしばらく子猫と遊びながら、その飼い主を待っていた。 ダンボール紙に『薄茶色の子猫預かってます!』と書いたが、殆どの通行人は気にもとめずに素通りして行った。 「繭。やっぱしこの子猫捨てられたんじゃない?」 「え~?こんなに可愛いのに?」 「この子猫なんていう猫だろう?」 由美は子猫を両手に抱きながら尋ねた。 「前飼ってた猫と似てるから、きっと三毛猫じゃないかな?」 繭は売店で買ってきた牛乳を、左手の平に数滴出しては子猫に与えた。 「ねえ子猫ちゃん。うちの子になる?」 繭は右手で子猫の背中をなぜながら聞いた。 『ミャーン』 「ねえ由美!ほら答えたよ。うちの子になるって!」
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