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その夜になった。
学校から帰って来た大樹が、繭の携帯に掛けてきた。
「ちょっとベランダに出て。」
繭がベランダに出ると、大樹がベランダの手すりに腰掛けて境の板の向こうから顔出していた。
「何だよ~繭。俺の活躍見なかったんかよ~」
大樹は口をへの字に曲げて文句を言った。
「あ~あのボケ~としていてアウトになったところ?」
繭は大樹をからかう。
「違うって!あの走者一掃の2塁打だよ。あれで内の学校、決勝に残れたんだからな~」
「ハイハイ、それは見てなかったよ。ごめんね。」
繭は大樹の機嫌を損ねて、明日の決勝戦に影響が出ない様に配慮した。
『うん繭エライ!もし明日負けちゃったら、大樹の取り巻きの女の子に今まで以上に恨まれちゃうもんね。』
繭は自分を誉めてニヤついた。
大樹はそれを見て、繭が自分に惚れてると勘違いした。
『よし!今日こそ打ち明けるぞ。』
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