プロローグ

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夏のある日、高校野球の神奈川県 大会が行われ、一試合目がちょう ど終わった。 横浜大東館は負けたというのに、 部員たちはなぜか笑顔で満ち溢れ て勝った雰囲気さえ醸し出してい た。 「また三回戦負けか~」 「何年連続だ? 確か七年だっけ ?」 「いや、九年連続だべ。伝統をキ ッチリ受け継いでるな」 「甲子園出るより偉いもんよ!」 『はっ、はっ、はっ、はっ……』 ロッカールームの中で笑う三年生 達。この日で引退なのだが、別に 悔いなどは残っていない。 そしてある三年生が大声で発言し た。 「後輩たち! せいぜい頑張って くれ! 三回戦敗退」 『はっ、はっ、はっ、はっ……』 これに大きく笑ったのは三年生だ けだ。そして大声で発言した部員 がある一人の部員に言った。 「な、次のキャプテンの八王子。 期待してるぜ」
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