第2章 目指す先

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川崎北稜との試合終了後、八王子 と二本松と三次、そして一関の四 人が帰路の電車の中にいた。 「い、いや~、疲れたな~」 顔を引きつらせながら一関の肩を ポンと叩く三次。 「…………」 しかしガックリ落ち込んでいる一 関が返事する訳も無く、周りも沈 黙が続く。 「勝ちたい……」 沈黙を切り裂いて、一関が僅か一 言だけ呟いたかと思うと、少し大 きな声で話し始めた。 「オレ、すげー悔しい。だから、 試合に勝ちてー!」 電車の中にも関わらず心の内を叫 んだ一関。 「一関……。今日負けはお前のせ いじゃねーよ。打てなかったオレ たちのせいでもあるんだ。不甲斐 ないよな。でも、そんな俺たちも 一関と同じ気持ちだ。勝ちたいん だ。だから勝てるように、これか ら練習三昧だ」 八王子は長々と話したが、隣に居 た二本松と三次は頷いていた。 一関は下に俯きながら涙を流して いる。そして一言呟いた。 「頑張るよ……」
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