第2章 目指す先

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「しかし、だ。勝ち続ければそん なことは考えなくてすむ」 「んな簡単に言われても、な~」 「勝ち続けるって、どこまで?」 二本松、七尾が首を傾げる。麻生 は淡々と話す。 「そうだな~、3週間後の秋季大 会ブロックでは1位通過、県大会 で2回戦突破かな」 「現実味ありすぎ……」 三次がボソッと呟いた。麻生には それが聞こえたようできつめ言い 放つ。 「今のままだと、ブロック予選通 過もどうか、ってとこじゃないか ?」 麻生は更に現実味の増したことを 言ったのだった。 「まあ、とりあえずがんばろや。 秋季大会だ、気楽に行け」 麻生はこう言って校舎のある方へ 歩いていった。 「あ、そうだ。監督ー!」 何かを思い出したのか、八王子が ダッシュで麻生を追って行く。 「麻生監督、今日の練習は?」 麻生は八王子を見てグランドを覗 きながら言った。 「あそこのグランドから、この昇 降口までは約200メートル。今 のは全力疾走か?」 なぜ聞かれたか分からないので、 キョトンとする八王子。 「8割ぐらいすかね?」 「体力不足だな。息が上がってる ぞ。じゃ、練習メニューは……」 何か嫌な予感して唾を飲む。
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