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秋季大会、金沢港との試合の一週
間前と迫ってきた。
「挨拶もまともにできないかも知
れないのに、実践なんてやらせる
かよ」
と、一週間前に麻生に言われた部
員たちは、挨拶だけはしっかりや
ろうじゃないか、という結論に達
して挨拶はしっかりすることだけ
を決めた。
ちょうどその頃、夏の甲子園が始
まっていた。
「おいおい、すごいな、翔海大相
模原。甲子園で24対0で勝った
だとよ」
二本松が驚きながら、声を震わせ
ていた。八王子も興奮気味になっ
て語った。
「見た見た。やっぱり神奈川を制
する者は全国を制すって奴かな。
強すぎだけどな」
翔海大相模原は甲子園常連校で、
神奈川の中でも筆頭の強豪校。
「翔海大なんて考えてもお前らに
関係ないだろ。お前らは金沢港戦
だけ考えろ」
「は、はい……」
麻生が登場して、萎縮する部員た
ち。サングラスがギラリと陽に反
射する度に恐怖が襲っているよう
な気がしている。
「さ~て、今日の練習は皆さんの
お好きなメニューだからな~」
麻生は笑顔でこう言った。しかし
部員達は不気味さだけしか感じて
いない。
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